画期的でかっこいいスニーカーを発売するナイキの裏の顔?を紹介。
こんにちは。元靴屋店員です。世界的に大人気のスポーツブランド「ナイキ」。
ナイキのスポーツブランドとしての歴史は比較的浅く、発売当初は思う様な結果を残す事ができずにいました。
そこでナイキは他のスポーツブランドとは違う画期的なスポーツアイテムを展開し、天才的なプロモーションで多くのユーザーを獲得してきたのです。
最先端をいく画期的なスポーツアイテムは現代においても多く発売され、陸上界に衝撃を与えた厚底ランニングシューズもその一つといえるのではないのでしょうか。
厚底ランニングシューズから分かる様に、ナイキの画期的なアイテムはスポーツシューズに見られ、有名なスポーツ選手も愛用しており、多くのシグネチャーモデルが発売されてきました。
一方で、ナイキのプロモーションや売り方が貪欲な一面も見られ、時には多くの人から批判を浴びる事もあるのですが、結果的に大きな宣伝効果に繋がっている事もしばしば。
時に話題の炎上系ユーチューバーが霞む程の貪欲な売り方をするナイキ。今回はそんなナイキのスニーカーの売り方に関する貪欲な「裏の顔」のエピソードを3つご紹介します。
オニツカ(現アシックス)をあっさり裏切る
(引用:【さらに200円引きCP★対象】オニツカタイガー メキシコ66 ONITSUKA…)
ナイキは1964年に「ブルーリボンスポーツ」という名前で創立。創業者はオレゴン大学の陸上部でコーチを行っていた「ビル・バウワーマン氏」と、部員であった「フィリップ・ナイト氏」の二人です。
1962年に創立者の一人であるフィリップ氏は卒業旅行で日本の神戸でオニツカシューズと出会い、高性能さと低価格さを実現したシューズに感動しオニツカ社に連絡を入れ鬼塚喜八郎氏と直接面会。
その後、米国西武での販売代理契約が決まり、ブルーリボンスポーツが創立されたのです。
ブルーリボンスポーツ社の創立の歴史を見て分かる通り、ナイキはオニツカシューズを輸入しアメリカで販売する会社としてスタートしました。
一時はブルーリボンスポーツ社の売り上げでは食べて行く事ができず、フィリップ・ナイト氏は会計士をしながら生計を立てておりましたが、努力が実を結び1969年には事業が専念できるまでに成長を遂げます。
その後アメリカ人にピッタリなデザインや機能をオニツカ側に提案する等、両者の関係は良好に見えました。
ですが、ナイキが提案したモデルがオニツカ側に受け入れらない等の理由から鬱憤を溜め込み、創立者の一人でシューズの提案をしたいたバウワーマン氏は「自由にシューズを作りたい」と思う様になっていたのです。
その後、鬱憤を晴らすかのようにあっさりとオニツカとの提携を解消し、1971年に「ナイキ」を設立したのでした。
突然のオニツカへ対する裏切りがエグい…
良好に見えたオニツカとナイキの関係ですが、提案したアイデアが採用されなかった事や、利益があまり取れない等、鬱憤が溜まっていた模様。
ブルーリボンスポーツとオニツカは共同で販売会社の設立を計画していたのですが、突如オニツカの技術者の大量引き抜きやライバル会社のアサヒに製造を委託する等、溜まっていた鬱憤を晴らすように自社商品の製造を開始。1971年に「ナイキ」が創立されたのでした。
突然の裏切りにも見える一方で、「自由にシューズを作りたい」や「海外進出を強化したいオニツカのしたたかな考えから解放されたい」といった側面も。また「アメリカ式のドライなビジネススタイル」という意見もあります。
実際に飼い犬に手を噛まれた当人である鬼塚喜八郎氏は同時の事を、、、
日本の商社の勧誘で他のメーカーからの仕入れに切り替えてしまった。驚いた私はすぐに別の販売店と契約したが、日本の商慣習になじまないそのドライな行動に裏切られた気がしたものだ。(日経新聞「私の履歴書」より鬼塚喜八郎氏の掲載記事から引用)
と語っており、ドライなビジネススタイルを身に染みて実感した様です。
さらに追い打ちをかける「コルテッツ問題」
(引用:お得な割引クーポン発行中!!【あす楽 対応!!】【送料無料 ナイキ コルテッツ …)
ナイキの創設者の一人であるビル・バウワーマン氏の最高傑作「コルテッツ」。タイガーコルテッツとして人気を博していましたが、ナイキはランニングシューズの目玉商品として「ナイキ・コルテッツ」を発売しました。
当時コルテッツの冠を持ったモデルが二つ存在してしまい、ついには使用権を巡り両社が対立する事になりました。
発案者はバウワーマン氏でありますが、生産者はオニツカであり、オニツカの力が無ければ世の中にコルテッツは生み出される事はありませんでした。
ですが、契約の不備をつかれ、ナイキがオニツカを社を提訴。その後オニツカ側が多額の和解金を支払い、コルテッツから「コルセオ」に名前を変更する事となったのです。
その時の心境を鬼塚喜八郎氏は、、、
結局和解に応じたが、和解金額は弁護士費用を含め1億数千万円。海外展開するうえで良い経験だったとはいえ、高い授業料を払わされた。これが後に急成長したナイキである。(日経新聞「私の履歴書」より鬼塚喜八郎氏の掲載記事から引用)
と語っており、踏んだり蹴ったりの結末を迎えた事がこの一文でよく分かります。
炎上上等?なプロモーション
ナイキは画期的な商品を作るだけではなく、エアフォースワンを売り出す際の「オリジナルシックス」や、8種類のバスケットシューズダンクとターミネーターを含めた「BE TRUE TO YOUR SCHOOL」等、他とは異なるセンスが良いプロモーションを行い他社との競争に勝利してきました。
ですが、差別とも取れる日本のプロモーションCM等、賛否別れるプロモーションも仕掛け、ちょいちょい話題に上がる事も。
スニーカーに関して賛否が大きく分かれたプロモーションといえば、エアフォースワンとのコラボをした「コリン・キャパニック氏」の起用ではないのだろうか。
(引用:https://www.wwdjapan.com/articles/752744)
コリン・キャパニック氏は有名な元NFL選手で、「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と、差別や暴力に抗議するために試合前の国歌斉唱中に起立することを拒否しました。
その事について賛否が分かれ、当時大統領であったトランプ氏も「その(国歌斉唱中に片膝を地面につける)ような選手たちは解雇されるべきだ」と発言。結局コリン・キャパニック氏はNFLを追放される事になったのです。
その後ナイキとコリン・キャパニック氏のコラボモデルが発表されますが、「このプロモーションはアメリカへの背信だ」等と案の定炎上する事になりました。
キャパニック氏の行動はその後正当化の方向になっていきましたが、ナイキのウ〇グル等の問題から、純粋な気持ちでキャパニック氏をナイキはサポートしたのか?炎上込みのプロモーションだったのでは?と思ってしまう人は少なからずいるのではないのでしょうか。
実際に、同広告の炎上直後は一時株価が3.2%減、時価総額が32億ドル(約3520億円)減となりましたが、結果として同広告は、24時間で4300万ドル(約47億5000万円)相当のメディア露出価値という大きな結果を残したのです。
ブランド価値維持の為の徹底した供給調整
ナイキはブランド価値を高める為に在庫の量をかなり少なく作り、ユーザーの購入意欲を煽るような手法を用いています。逆に売り出す時は以上なまでに在庫を作り、自ら流行を作り出す事も。
この様な計画的な供給調整はエアフォースワンが人気になったぐらいから始まり、エアフォースワンの時は、販売店を絞ったり生産を辞めるなど、ユーザーの購入の競争を高めたりしていました。
少し前までは、小売店のバイヤーが購入した在庫は基本的に店頭に並び、フリー在庫が少なく注文ができないという事が多かったのですが、最近ではバイヤーの買い付けも制限しているのか、ナイキのスニーカーが店頭に並ぶのは僅かとなっています。
現在はナイキのオンラインショップでの購入が一番在庫があり、限定スニーカーはアプリの「SNKRS」の抽選で購入するのが基本となっています。
しかし在庫をかなり絞っているので、ショップでプレ値が付いたり、転売ヤーの餌食になる事が多くなっているといるのもしばしば見受けられます。
過剰な供給調整は”コービー”問題へと…
ナイキと契約をしていた伝説のバスケットボールプレイヤー「故コービー・ブライアント氏」は、自身のシグネチャーモデルの在庫が少ない事や、子供向けのモデルが発売されない事に不満を抱いていました。
コービー・ブライアント氏が亡くなった後、さらにコービーのモデルは在庫に制限が掛けられ、一向に子供モデルが発売されない事から、妻のヴァネッサさんは「ナイキとの契約は2021年4月13日で終了」を決断したのです。
ナイキは一部の商品の販売数を極端に絞り、入手困難な状況を作ることでブランドの価値を高めようとしている。それは年々エスカレートし、いまやバッシュはバスケをする時に履くものか、投機商品なのか分からなくなった。(引用:https://basket-count.com/article/detail/75253)
垣間見えるナイキの闇…だけどナイキの製品は素晴らしい…
ナイキはナイキ社の人種差別を告発するインスタのアカウントが作られ、そのアカウントが数日後には削除されたり、ワクチン接種を受けていない従業員を解雇する等、差別問題が度々取り上げられます。
これに対して否定的な意見が多く集まり、、、
「差別を熟知したエキスパートだから、差別をビジネスにできる」「ブーメランみたいなロゴしやがって」「ナイキ差別企業確定。一生不買です」
等と、不買をすべきだという声も多く聞こえます。ナイキの差別問題や貪欲なプロモーションが嫌なら話題に上げる事なく不買をするのが一番効果的です。
ですが、ナイキはスポーツブランドで唯一売り上げが3兆円を超える企業ですから、様々な問題が表面に現れやすい企業とも言えます。
実際にアシックスやアディダスもエグい問題が表面化され炎上するのですが、ナイキの火力が凄すぎてすぐに忘れ去れてしまいます。
どの大手のスポーツブランドも様々な裏の顔を抱えていると思います。ただどのスポーツブランドも魅力的なアイテムを発売しており、不買ばかりしていたら、使ってみたい魅力的なアイテムを使えなくなります。
難しい問題ですが、おかしいと思ってもどこかで割り切って購入するしかない…と思っているのですが、ナイキの欲しいアイテムすぐ売り切れるし安くならないから、そもそも買っていませんでしてワ。