こんにちは。元靴屋店員です。今回はコンバースのスニーカーについてのちょっとしたお話をいたします。
ここで紹介するのは題名にもある様に「コンバース・オールスターの売り上げが4割減ってマ?」というお話です。
「売り上げが4割減」ではなく「店に卸した金額が4割減」
100年以上の歴史をもつ「コンバース・オールスター」。
スニーカーがそこまで好きではない人でもオールスターだけは知ってるという人もいるぐらい、このスニーカーの知名度は実質ナンバー1です。
そんなオールスターの売り上げが4割ほどダウンしているとのこと。まずはこちらの引用をご覧いただきたい。
既存商品の卸し先数は従来より4割減だが-(略)(引用:コンバース 軽量モデル“オールスターライト”発売
とこの記事にある様に、正確には「売り上げが4割減」ではなく「店に卸した金額が4割減」となったのです。
オールスターのブランド価値を守るため意図して売り先を減らした?
この記事を読み進めれば分かりますが、他のブランドの脅威や値上げなどの要因でオールスターが売れなくなったのではなく、「新たな販路政策」により、、、
意図的にオールスターを卸す店を減らしたのです。
ではなぜコンバースはこの様な政策に踏み切ったのか?
理由は、「コンバース」のブランド価値をこれ以上低下させない為です。
コンバースオールスターは靴屋以外にもスポーツ店や大型スーパー、ホームセンターなど様々な量販店で売られていました。
また、ブランドの価値が高いスニーカーの中では比較的安価だったこと、在庫が安定していることから意図しない安売りがされることも。
多くのユーザーに認知される一方で、ブランド価値はどんどん減少していったのです。
モデル別に販路をセグメンテーションすることで、トレンド変化で流通在庫が増えた際に、主力品が安売りされ、ブランド価値が低下するリスクを避ける(引用:コンバース 軽量モデル“オールスターライト”発売)
そこでコンバースは、オールスターのブランド価値を低下するのを防ぐ為、一部の靴屋にオールスターを、そして量販店にはコンバースのスニーカーを基にした「ネクスター」を提供したのです。
これまではセレクトショップや量販店など販路にかかわりなく、同一商品を卸売りしてきたが、今後はネクスター110を量販店、それ以外をファッション系の小売店にといった具合に、卸す商品を区別する。(引用:コンバース 軽量モデル“オールスターライト”発売)
そしてこの戦略は大成功を収めたのでした。
オールスターを販売している店は?
ネクスターを展開している小売店、、、大型スポーツ店、日用色が強い靴屋(靴流通センターや大型スーパーの靴屋等)
オールスターを展開している小売店、、、ABCマート、セレクトショップなどファッションの専門色が強い小売店
両方を展開している小売店、、、シュープラザやアスビー等ファッション・日用系両方の面を持つ靴屋(定番はネクスターで期間限定のスポットモデルはオールスター)
意図した戦略に元靴屋が思う事
この戦略について、私個人としてはもっと早くこのやり方に切り替えるべきだった思います。
理由は高く認知される一方でブランド価値の低下は目に余るものがありました。
その証拠にネクスターの売り上げはとても好調で、実績はネクスターが発売される前年(2016年)よりもコンバースのスニーカーは上回っています。
新たな販路政策で、既存商品の卸し先数は従来より4割減だが他のモデルで補い、金額ベースでは前年の販売実績を上回る見込みだ。(引用:コンバース 軽量モデル“オールスターライト”発売)
上の引用から推測するに、多くのユーザーはコンバースのオールスターを求めているのではなく、コンバースというスニーカーブランドに価値を見出していたのです。
しかしながら、安価に売り続けた事で100年以上続くオールスターの価値を「日本」は下げ続けてしまいました。
※日本のコンバースは本場のアメリカとは異なります。詳しくはこちら
まとめ
オールスターが売れなくなった、、というよりオールスターを扱う店舗が限られ、ライトユーザーとハードユーザーの住み分けができたというお話でした。
オールスターを基に作られたネクスターもライトユーザーに大好評のようですし、コンバースオールスターは本来のブランド価値を取り戻してほしいところですね。