ユニークなスポーツシューズを展開し続けるスポーツブランド「リーボック」。その中でも一世を風靡したシューズといえば「イージートーン」ではないのでしょうか。
イージートーンは、2009年に「履くだけジム」というキャッチコピーで発売された、女性を中心に高い人気を得たウォーキングシューズです。
2021年現在、厚底スタイルのスポーツシューズは人気を獲得しており、イージートーンとほぼ同時期に人気を高めた厚底のランニングシューズ「ジグテック」は復刻をしています。
しかしながら大きなブームを巻き起こした「イージートーン」は復刻がされていません。恐らく今後される事はないのではないのかと思います。
ではなぜイージートーンは復刻がされないと推測できるのでしょうか?イージートーンにはダイエットの効果が無かったのでしょうか?
そこでここでは、元スポーツ店店員で元靴屋店員の私が、リーボックイージートーンの効果の有無やなぜ一時的なブームで終わってしまったのかをご説明します。
ここでご説明するイージートーンの効果の有無や一時的なブームで終わてしまった理由を理解できれば、なぜこの厚底ブームにおいてイージートーンが復刻されないのかが見えてくると思います。
リーボック・イージートーンとは?
リーボックイージートーンの効果の有無やなぜ一時的なブームで終わったのかをご説明する前に、リーボックイージートーンとはどの様なウォーキングシューズなのかをご紹介します。
リーボックイージートーンは、「履くだけジム」というキャッチコピーで発売されたウォーキングシューズです。
リーボックのウォーキングシューズの歩く度にエアのクッションが移動し、最適な歩行とクッション性を促す「DMXテクノロジー」を採用した事で、快適な歩行性を実現。
そして不安定な「バランスポット」を採用した事で足元が不安定になり、脚をしっかり安定させようとする力が働き、多くの筋肉を使う事に繋がるので、ダイエット効果があると言われておりました。
イージートーンを履けば痩せる?効果の有無は?
バランスポッドがある事で脚を鍛える事ができ、リーボックが誇る「DMXテクノロジー」で快適な歩行を促すイージートーンですが、ダイエットの効果は間違い無くありました。
なぜなら、イージートーンは大きな筋肉が集まる下半身を効率よく鍛える事が出来るウォーキングシューズだからです。
私も何回か試し履きをした事がありますが、下腿を中心に大臀筋に高い効果があるなと感じました。
またバランスをあえて悪くしているので歩きにくいのでは?と思ったのですが(砂浜を歩く様なイメージ)、DMXテクノロジーによって高い歩行の性能と効果的なクッション性があったので、歩きやすさもしっかり実現していました。
ダイエットの効果はあるが直接的ではない
効果は確かにあるのですが、直接的にすぐに痩せるという訳ではありません。
「大きな筋力(下半身)が鍛えられる→基礎代謝が高くなり痩せる」となるので、どうしても効果を実感出来る人は少なかったのではないのでしょうか。
さらに下半身に高い効果がある事からユーザーからは「脚やせ」効果もあるとも言われました。
基本的に脚だけ瘦せるという事はなく「引き締め」効果ですので、体重の変化を実感する事が出来なかったのです。
効果は確かにあったのですが、有酸素運動の様な直接的な効果ではなく、間接的な効果であった為ダイエットの効果を疑う人もいたと思いますが、メーカーが謳っている効果は間違い無くあったのです。
割と履く人や場所を選ぶ
足元をあえてバランス悪くしているので、いくら歩きやすくても安定感は高くはありません。
むしろ安定感を悪くしているので、転倒や予想がつきづらい怪我に繋がる事もあるアイテムといえます。
その為…
ある程度の筋力を持った向け
平坦で歩きやすい道推奨
長時間の歩行は危険
といった側面も持ち合わせてあり、履く人や場所を選ぶウォーキングシューズでもあったのです。
ダイエット効果・脚の引き締め効果があるのになぜイージートーンは一時的なブームで終わってしまったのか?
直接的ではないですが、ある程度のダイエット効果が見込まれる「イージートーン」。
「一時的なブーム」とここではご紹介していましたが、イージートーンは2009年発売から販売が完全に終了する2017年まで…とは言えませんが、2015年ぐらいまでは非常に高い支持を得ておりました。
またイージートーンの機能を採用した靴はウォーキングだけに留まらず、パンプスやブーツタイプ等のかわいいモデルが発売されており、女性ファンから、それなに長い期間、支持を得ていたいえます。
しかしながらイージートーンは現在発売されておらず、一時的なブームとして終了してしまい、定番になる事はありませんでした。
イージートーンのブームの終焉を見ていた私からすると、、、
①誇大広告疑惑による印象の問題
②訴訟によるイメージ低下
③売る店の問題
が一時的なブームで終わってしまった理由ではないのかと思います。
誇大広告による不当表示が指摘された事による印象の低下
「履いて歩くだけで高い運動効果を得られる」や具体的な数値を掲げ宣伝していたイージートーンですが、米連邦取引委員会(FTC)から不当表示ではないのかという指摘が入りました。
その事でリーボック側が2500万ドル(約19億円)支払い和解。
効果があるというユーザーの声も多かったのですが、科学根拠の裏付けがあるのか?という指摘も多数あり、リーボック側から和解金も払っているので誇大広告であったのではないのか?とユーザーから疑念の声が上がっていました。
様々な訴訟によるイメージ低下
大きく人気を落としたのが様々な誇大広告等を含めた訴訟によるイメージの低下が大きいのではないのかと私が思います。
その中でも大きかったのが、2014年日本で起こった訴訟。
靴底を不安定にすることで、筋力向上などをうたったトレーニングシューズ「リーボック イージートーン」を履いて転倒し、重傷を負ったとして、横浜市港北区の男性(59)が製造元のアディダスジャパン(東京都港区)に約2300万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴していたことが20日、分かった。
横浜の男性がアディダスを提訴、シューズで転倒、重傷
特に人気があった2012年~2014年頃は社会現象になり、リーボックに似たバランスが悪いシューズが多くのブランドから発売される程イージートーンは高い人気を獲得していた為、一気に悪い印象が広まりました。
そこから本当に効果があるのか?や危険なシューズなのではないのか?という事からイージートーン離れが一気に加速したのです。
販売店をABCマートのみにしたのが悪手だった
2009年発売から非常に高い人気を誇っていたイージートーンですが、リーボック社はイージートーンの価格を値引きして売らない様に各小売店に通達した事で、独占禁止法違反が認定されました。
そこで販売店をほぼABCマートに絞り販売を開始。ABCマートは元AKB48の、篠田麻里子さんを起用し順調に人気を獲得。
しかしながら、靴を売る事は上手なABCマートの店員さんですが、機能まではしっかり伝えきれていたのか?と言われればかなり疑問が残ります。
実際にイージートーンは間接的なダイエット効果は見込まれますが、バランスあえて不安定にしているので、ある程度の筋力を持った人や履く場所を選ばないといけない等のデメリット面もありました。
スポーツ店の店員さんならしっかりその辺りの事を伝えられる事が出来たとは思うのですが、靴屋の店員さんがデメリットや魅力を最大に伝えられていたのかは微妙なところ。
また購入する店がほぼABCマートのみになった事で、露出が減りさらにユーザー離れが加速。
ABCマートがほぼ独占して販売した最初の頃は良かったものの、以降は在庫を余しているイメージの方が強く、結局リーボック側が望まない値引きへ…という光景をよく目にしていました。
イージートーンを復刻するにはイメージが悪すぎる
個人的にイージートーンはダイエット効果があるウォーキングシューズだと思うのですが、度重なる訴訟からくるイメージの悪さや販売店を絞った事で一気にユーザー離れが加速しました。
この厚底スニーカーのブームから復刻されないのは、こういったイメージの悪さがあるのではないのかと思います。
また、靴の性能によるリスクの高さも考えると、復刻するのは難しいと私は感じます。
しかしながら個人的には非常にユニークで素晴らしいウォーキングシューズだと私は思います。
メリット・デメリットを、科学的根拠を基に伝える事ができれば私は復刻してほしいモデルだと思っています。
ですが訴訟のイメージの悪さや厚底シューズのブームの勢いが下火になっている事を考えると、今後復刻する事は難しいのではないのでしょうか。